建築

DESING TALKS PLUS/デザイン トークス+(プラス) 『雨』 02

【Eテレ】デザイン トークス+(プラス) テーマ『雨』02 ゲスト/保坂猛

 
どうも! 店長(@cul_spo)です。
引き続き、「デザイン トークス+(プラス) テーマ『雨』」のレポートをご紹介!

前半はこちら→【Eテレ】デザイン トークス+(プラス) テーマ『雨』01

あらたな「雨」のデザイン

樋(とい)など、古来から使われてきた雨に関する道具や部品が、現代のデザイナーの手によって生まれ変わっているとか。ここで、その一つをご紹介。

実例 『コープ共済プラザ』(東京都渋谷区)

画像引用 https://www.g-mark.org/award/describe/47960

設計:羽鳥達也(日建設計)
受賞:2018年度グッドデザイン賞

<審査委員の評価>
逆スラブ工法によって生じた床の厚みを植栽の土壌基盤として用い、つる植物を雨水の誘導チェーンに絡ませて生やすことで植栽にも無理のない「緑化」を実現している。
引用 https://www.g-mark.org/award/describe/47960

このビルにはファサードとして使われた「つる植物を雨水の誘導チェーン」は、現在、建築物に使われている雨よけ・雨のあしらいの「鎖樋」(くさりとい)。

鎖樋は和風建築ならではの部品として使い続けられ、現在でも自社仏閣の軒に下がり、雨を美しく見せています。

これを現代版にバージョンアップさせたのが、デザイナーの橋本潤さんと瀬尾製作所(富山県富岡市)

ビルのファサードとして使われた鎖樋(くさりとい)。

橋本さん
橋本さん
鎖樋によって雨が見えると、うっとおしい雨の日が楽しい時間に変わる。現代的な雨樋をデザインしました。

筒の長さは長・中・短の3種類。これがずらりと縦に並びます。形もシンプル。筒と筒の間の38mmという長さが、もっとも雨水をきれいに見せるそうです。

 

【トーク】 雨のあしらい

シャウラさん
シャウラさん
あのビルは見た事がありますが、表面を覆う金属はファサードだと思っていました。ふだんは鎖樋として使われているパーツだったなんて!
保坂さん
保坂さん
鎖樋を伝うことで、雨水が装飾になるっていう豊かさがいいですよね。
ポンピリオさん
ポンピリオさん
いまの日本の建物は、雨水を隠していますもんね。
保坂さん
保坂さん
一軒家だとパイプ素材の雨樋が一般的です。これだと雨の音がしないし、もちろん見えません。

このような素材や形が広まったということは、もしかしたら現代の日本が、雨を楽しめない社会なのかもしれないですね。

ポンピリオさん
ポンピリオさん
言われてみれば……
シャウラさん
シャウラさん
保坂さんは、昔から雨が好きだったんですか?
保坂さん
保坂さん
実は、大学生くらいまで雨が好きじゃなかったんです(笑)雨の日は、憂鬱でした。
シャウラさん
シャウラさん
あら、そうでしたか。
保坂さん
保坂さん
ある日、パン屋に行ったんです、雨の日に。そしたらお店にいたおばあちゃんに、「良いおしめりですね」って言われたんです。
ポンピリオさん
ポンピリオさん
素敵な言葉ですね。
保坂さん
保坂さん
衝撃が走りました。また、うちの祖父母は農家なのですが、「雨は天からの美しい贈り物」だと有難がっていて、雨をポジティブに……いいものとして受け止める価値観は、私にとって大きな刺激でした。


現代の建築は、自然に左右されない空間を造ろうとしています。空調などで快適に過ごせますが、一方で自然との距離を遠くしていると感じます。
 
 
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保坂さんの代表作

富士山の麓にある河口湖。世界中から観光客を集め、その数なんと年間500万人。そんな河口湖町にある「この建物」が保坂さんの代表作です。

実例 『ほうとう不動』(山梨県富士河口湖町)

画像引用 http://www.hosakatakeshi.com/japanese/works-projects/hoto.html

・規模:726m2
・南に富士山を望む
・風景と建物が一体となった建築物
・美術館やギャラリーではない
・山梨の郷土料理「ほうとう」の専門店
・曇のような形と壁・天井が一体となった空間が特徴
・日中は自然光のみで採光
・エアコンがない
・建物の4方向に大きな開口部を設置
・その大窓を閉めたり、すこし開けたりして自然の空調を働かせる
・富士山側の開口部に絶景の富士
・開口部がかわいらしい額縁みたいに景観を縁取る

「ほうとう不動」には軒も雨よけの装置もありません。でも、開口部をぐるっと囲うように樋(スリット)が掘り込まれているので、ふつうの雨ならここに溜まり、流れ、店内への影響は少ないそうです。

また、自然の状況に合わせ、人間が窓を開け閉めしながら空調を整える行為が、機械やエネルギーに頼らず、人と自然と調和したライフスタイルを実現します。

マル子
マル子
保坂さんは「自然の風を感じながら、あつあつのほうとうをゆっくり食べられる」ような空間を作りたかったんだってね。
店長
店長
屋根とかいわゆる樋っぽいものを付けてないのも、ほうとうを食べながら……
マル子
マル子
雨を眺められるようにっていう気持ちだって言ってたニャ。
店長
店長
先回りすんな! って、あのもこもこした建物の形……富士山をイメージしてるらしいけど、ほうとうの麺にも見えるよなあ。
マル子
マル子
あ? 見えない。
店長
店長
あ? 見えるだろ!
マル子
マル子
腐ってるニャ、目も。
店長
店長
目もってなんだ! 目もって!

 

【トーク】 保坂さんにとっての「雨」

シャウラさん
シャウラさん
まさか、ほうとうのお店だなんて、思わないですよね。
ポンピリオさん
ポンピリオさん
目立ちますよね(笑)なぜ、あの形に?
保坂さん
保坂さん
もともとは和風の店舗設計を依頼されたんです。私も考えてはみたんですが、あの敷地から見える富士を描いたら、「この形だけで和だ」と感じて。プレゼンしてみました。
ポンピリオさん
ポンピリオさん
クライアントの反応、どうでした?
保坂さん
保坂さん
口を開かれませんでした、30分間(笑)
ポンピリオさん
ポンピリオさん
(笑)
シャウラさん
シャウラさん
(笑)
ポンピリオさん
ポンピリオさん
今後はどのような建築を?
保坂さん
保坂さん
いま、おおきな改段やウッドデッキがある公共建築を作っているのですが、この雨樋はすべて、見える形で付けています。
ポンピリオさん
ポンピリオさん
じゃあ、水の流れが見える?
保坂さん
保坂さん
そうですね。空間に置く植物と、雨水の流れがどちらも眺められる、雨の日も楽しくなる建築になればと。
シャウラさん
シャウラさん
これまで雨はやっかいって思ってましたけど、そんな自分……ちょっと悲しくなりました。付き合い方をあらためたいなって。
ポンピリオさん
ポンピリオさん
うん(笑)保坂さんにとって、雨とは?
保坂さん
保坂さん
雨っていうのは、地球全体で水が循環している非常に壮大なものの1部だと思います。それが、誰でも触れるようなもの……いろいろな関わり方を考えてみたいと思っています。

追伸

マル子
マル子
雨の日はテンチョーが散歩に連れてってくれんし、あたし、ちょっと嫌いだった。けど……保坂さんの話を聞いて、建築物を見てたら、好きになれそうな気がしてきたニャ♪
店長
店長
ほんとだよなー。雨樋が雨をうつくしく見せる工夫だったとか、知らなかったし。
マル子
マル子
雨が好きになれたら、店長のことも好きになれるかもニャあ。
店長
店長
いーっ、いまさらっ?!

【Eテレ】デザイン トークス+(プラス)


「デザインの力ってなんだろう?」
そんな好奇心をもとに、形に宿る精神や哲学をひも解きながら日本のデザインの世界を探求します!

放送日:毎週木曜 午後10時50分 | 再放送 毎週水曜 午前10時25分
キャスター:アンドレア・ポンピリオ&シャウラ

 

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